2020年12月


2.人工膝関節の診療報酬

人工関節も代金は保険で賄われます。人工膝関節はおおよそ次のパーツから構成されます。大腿骨インプラント、脛骨インプラント、膝蓋骨(膝のお皿)インプラント、そして大腿骨と脛骨の間に挟んで滑らかに動かすようにするためのポリエチレンインサートです。ほとんどの大腿骨インプラント、脛骨インプラントは金属(MRI撮影対応の合金)でできています。国はこれらのインプラントに対して公定価格を決めています。例えば人工膝関節の場合、公定価格は少し前までは80万円でした(現在はもっと安くなっています)。病院はインプラントを販売している会社から人工膝関節を180万円で購入してこれを手術で患者さんに使用します。その後、国から病院へ80万円が支給される構造です。人工膝関節の手術を行なえば、手術料として376,900円が入ります。そこから手術に必要な保険で賄うことができない材料費(執刀医の考え方によってここにもピンからキリまでの価格となります)、人件費、施設費などなどが差し引かれ、残りが病院の収益になる仕組みです。決して収益は多くはなく薄利多売的な感じも否めません。さらに裏の台所を見ると、1年間に相当数の手術を行う病院では同じ会社の製品を多く一括で仕入れれば当然定価よりも安く仕入れることが可能となります。例えば○○病院は年間に人工膝関節を500例おこなうとします。定価ではその購入費は80万円×5004億円となりますが、それだけの数の出荷が見込めるので、そこは商売、卸価格は60万円となるかもしれません。そうしますと1件につき20万円安く仕入れることができるので20万円×5001億円が差益となり病院の儲けとなるのです。

この続きはまた次回にいたします。

当院のコロナもようやく終息しました。次に同じことを起こさないように様々な対策が講じられました。詳しくはホームページをご覧ください。手術も少しずつ再開しましたが、入院前にはPCR検査が必要となりました。今回わかったことですが、PCR検査も唾液は感度が低く、陽性なのに陰性と出ることが時々ありました。やはり、辛いですが鼻咽頭より採取させていただくこととなりましたのでご了承お願いいたします。

当院では各階にクリスマスツリーを飾り付けました、スタッフとともに写真を掲載します。


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外来わきのツリー


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2階のツリー


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3階のツリー

少しだけホッとしませんか?

今日から何回かに分けて診療報酬について話をします。今回は第1回目で診療報酬とは何?についてです。

1.診療報酬とは何?

診療報酬とは、医療機関が患者さんを診療したときに国から受け取る報酬の事です。診療報酬は公定価格として国が定めていて、基本的には2年に1回通常改訂が行われます。手術を行う医師にとってとりわけ関心が高いのは“手術料”です。外科系の科を有する病院にとっては稼ぎの中心となる存在です。医学通信社から発刊されています診療点数早見表の中に
Kコードの付いた部分があります。ここに現在行われている手術のほとんどが網羅され、またこの分類に属さない手術であれば、それに近い分類で手術料が算定されます。例えば変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術は分類がないため、“骨切り術・下腿”に一括りされている状況です。KコードはK 000から始まりK 950に終わります。すべては点数化されていて、実際の金額はその点数×10円となります。なぜ×10なのか?と疑問に思われるかもしれませんが、物価変動に対応するためと言われています。さて人工膝関節置換術、一般的には人工膝関節手術と言われていますが、その点数はK082に分類されていて37,690点です。すなわち1例、1膝につき376,900円が病院に収入として入るわけです。ただし、この中には人件費、施設費、医療材料費(保険で賄えるものと、賄えないもの)などが入ります。保険で賄えない材料については病院の持ち出しとなってしまいます。保険で賄えない材料にはピンからキリまでありますが、基本的には私どもは患者さん重視で考えますので、できる限りピンに属する材料を使用します。そうなると当然値段も高価となるため、病院の持ち出し分が増えて収入は落ちます。日本では国民皆保険制度のため基本的には混合診療が認められていません。いくら患者さんが実費で支払うので“これを使ってください”と言われてもその希望にはこたえられないのが実情です。

この続きは次回に。
皆さん急に寒くなりましたが、風邪などひかないように気を付けましょう。

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